
マイクロ波成形とは、電子レンジの原理で特殊なシリコンゴム型を加熱し、型内部に充填した微細な樹脂ペレット(マイクロペレット)を溶融することで、熱可塑性樹脂の製品を成形する技術です。
量産用の成形材料を用いて成形する事で、量産モデルと同等の物性を得ることができ、また射出成形の金型より大幅な短納期、ローコストを実現します。
対応材質
主な成形可能樹脂: | ABS/PP/PC/PS/PE/PA/POM/HDPE/LDPE/TPE PMMA/ABS-GF/PC-GF 等熱可塑性樹脂全般 |
※保有します成形材料の他に、お客様の専用グレードをマイクロペレット化して成形させて頂くことも可能です。 成形材料によっては、対応不可な材料もありますのでお問合せ下さい。
マイクロ波成形の特徴
- マスターモデルの対応可能最大サイズは 『 150×150×高さ50mm 』です。
- マイクロ波成形では基本、複製したい物の“マスターモデル“が必要になり、主に切削加工や3Dプリンタで製作します。
(形状によっては反転型を切削加工や3Dプリンタで製作し、シリコン型を製作する場合もあります。) - マスターモデルを現物でご用意していただければ、シリコンゴムとの相性もありますがゴム型を製作し、成形することも可能です。
- マスターモデルに磨きや塗装をゴム型製作前に施すことにより、成形品も梨地や光沢などマスターモデルと同じ意匠面にることが出来ます。
- 電磁波を使用しますので、金属等のインサート成形はできません。
- 肉厚が4mm以上の製品は、形状によってご対応出来ないことがございます。
マイクロ波成形のメリット
- 量産用の成形材料を用いて成形する事で、量産モデルと同等の物性を得ることができます。
- 射出成形の金型より納期が大変早く、ローコストで製作できます。
- シリコン型の為、1つの型で10個〜15個までの製作になりますので、小ロットの製作に向いています。
- 切削品ではアンダーカットなどの問題で張り合わせになり強度等の問題がありますが、成形品はシリコン型に柔軟性がある為、多少のアンダーカットでも一体で製作出来るので強度があります。
また、光を透過して導くような製品(プリズムなど)もマスターモデルは張り合わせでも成形品になると張り合わせ面がなくなり光が透過できるようになります。 - 成形材料によって違いはありますが、塗装仕上げに最適です。
マイクロ波成形プロセス
- 1. ゴム型・樹脂の準備
- 特殊シリコンゴムでゴム型を製作します。
ゴム型の中に必要量の微粒子状になった熱可塑性樹脂を均等に敷き詰めます。
※ゴム型の作り方は真空注型の①〜⑧をご参照下さい。

- 2. マイクロ波照射
- ゴム型を合わせて、空気が入らない様に隙間をシリコンテープで密封させます。
真空ホースにつなぎ、ゴム型内を減圧し、マイクロ波成形装置に入れて設定をセットします。
スイッチを入れ加熱し、ゴム型内のペレットを溶融させます。

- 3. 冷却・脱型
- 樹脂の溶融後、ゴム型をマイクロ波成形機から取り出し、真空ホースに繋いだ状態で、冷却し成形品を硬化させます。
ある程度冷却出来たら、ゴム型から成形品を取り出します。

- 4. 仕上げ処理・完成
- 脱型してバリ取り、仕上げ処理をして完成。
